「仮想通貨取引」では、大きな利益を得られる可能性がありますが、同時に多大な損失が出る危険性もあります。通常、仮想通貨は手持ち資金の何倍ものレバレッジをかけて取引するため、相場が少し値下がりするだけでも多額のお金を失ってしまうのです。
さらに仮想通貨取引の場合、利用していた仮想通貨取引所の運営会社が「倒産」するリスクも存在します。同じようにハイリスク・ハイリターンな投資であるFXの場合は、利用していた証券会社が倒産しても問題ありません。証券会社の資産と顧客の資産を別に管理するよう、日本の法律で定められているからです。
そのため、日本国内の証券会社を使う限りは、株やFXの運営会社破綻リスクは無視できます。しかし仮想通貨の場合、運営会社が破産すると顧客の資産もいっしょに吹き飛んでしまうことが珍しくありません。
この記事では、仮想通貨取引所の破綻によって借金を負ってしまった場合に、債務整理ができるかどうかを説明しています。
仮想通貨取引所が破産した場合の借金はどうしたらいい?
仮想通貨取引の歴史は短く、まだ安定した仕組みができているとは言えません。世界には600程度の仮想通貨取引所がありますが、その中には、経営状況に不安を抱えている会社も数多く存在します。実際に、「FTX」のような大手の暗号資産取引所でさえ、経営破綻と無縁ではありません。
さらに、海外に本拠地がある暗号資産取引所の場合、運営会社が破綻した場合に、顧客が自分の資産を回収できないおそれがあります。自分が取引で失敗していなくても、仮想通貨運営会社の破綻のせいで借金を背負う危険性が否定できません。
FTXのような大手暗号資産取引所が経営破綻するリスクもある
大手暗号資産取引所であったFTXは、11月14日に破綻しました。FTXは、仮想通貨の取引金額が世界2位だったこともある業界最大手。しかしそんな業界トップクラスの企業でも、簡単に破綻してしまうのが仮想通貨界隈です。
ただし、FTXの破綻は仮想通貨というシステム自体の欠陥に起因するものではありません。ブロックチェーン技術が突破されたり、ハッキングを受けたりといった問題ではなく、FTXの経営陣が引き起こした人災によって破綻しました。そのため、ほかの暗号資産取引所も同じように破綻するとは言い切れません。
しかし仮想通貨取引は、運営側の利益も大きいため、一獲千金を狙って危ない動きをする経営者が多くいます。そのため、FTXのように人災で経営破綻する暗号資産取引所が、ふたたび出てこないとも限りません。
自分が使っていない取引所の破綻でも油断はできない
FTXが破綻した場合、FTXさえ使っていなければ問題がないと考える人もいるかもしれません。しかし仮想通貨の破綻問題は、もっと複雑です。
仮想通貨取引の運営会社は、ほかの暗号資産取引所の仮想通貨を保有しているケースが少なくありません。たとえば、大手の暗号資産取引所運営企業である「バイナンス社」は、FTXの仮想通貨を大量に保有していました。
FTXの負債総額は最大で7兆円とも言われており、FTXと関わりが深かった暗号資産取引所が連鎖破綻する可能性は少なくありません。仮想通貨取引をする際は、連鎖倒産のリスクも考えておく必要があります。
海外に仮想通貨が保管されている場合は債権回収できるか怪しい
FTXが破綻した1番の原因は、FTXの仮想通貨(FTT)を大量に保有していたバイナンス社が、FTTをすべて売却すると宣言したことにあります。なぜバイナンス社がFTT売却に踏み切ったかというと、FTXが顧客資産を流用している疑いがあったためです。後の調査によると、実際にFTXは顧客資産を勝手に投資に転用していました。もちろん、これは違法行為です。
ちなみにFTXには日本支社があります。日本の法律では、暗号資産取引所は顧客資産を流用できません。だからといって、FTXの日本支社を利用していた人はFTXの破綻の影響を受けない、と考えるのは早計です。FTX本社が自社の負債をなんとかするために日本支社の資産の使い込みをした可能性もあります。
日本に本社がある暗号資産取引所の場合は、日本の法律に守られているため、ある程度は安全です。しかし日本国外で運営されている暗号資産取引所を利用している場合、運営会社破綻時に資産が戻ってこない可能性が高くなります。
仮想通貨・暗号資産で借金を抱えたら弁護士に相談しよう
仮想通貨取引は、状況次第で大きな借金を作ってしまう危険性を孕んでいます。もしも仮想通貨取引で大きな借金を抱えてしまったら、「弁護士」に相談するのが1番です。
まず、弁護士に依頼すれば、暗号資産取引所が破綻した場合でも、自分の資産を回収してもらえる可能性が高まります。
また、資産回収ができなくなった場合でも、弁護士に依頼すれば債務整理は可能です。自分だけで問題を解決しようとすると、さらに状況が悪化してしまう危険性が高まります。そのため、なるべく早く弁護士に依頼するのが賢明です。
仮想通貨に詳しい弁護士なら業者が破綻しても資産回収の可能性あり
仮想通貨取引をする場合、運営企業の破綻時に顧客資産が保護されるかどうかわかりません。暗号資産取引所の破綻時に、自分の力だけで資産を回収するのは困難です。特に海外の企業が暗号資産取引所を運営している場合は、資産を回収に運営会社の国の法律知識も必要になるため、素人が回収をおこなうのは非常に難しくなります。
しかし弁護士に依頼すれば、無事に自分の資産を回収してくれる可能性は少なくありません。ただしどんな弁護士でもよいというわけではなく、仮想通貨の問題に精通している弁護士事務所に依頼する必要があります。
暗号資産取引所破綻時の資産回収は、なるべく早く進めなくてはいけません。時間がかかればかかるほど、資産回収が成功する可能性は低くなってしまいます。破綻がわかったらすぐに弁護士に依頼して、対策を相談しましょう。
弁護士なら仮想通貨による借金を債務整理でなんとかできる
弁護士を利用すると、「債務整理」によって仮想通貨取引で負ってしまった借金問題を解決可能です。債務整理にはおもに、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがありますが、弁護士が状況から判断して最適な債務整理方法を教えてくれます。
ただし、自己破産は絶対におこなえるとは限りません。なぜなら、仮想通貨取引は、自己破産の「免責不許可事由」に当たるからです。免責不許可事由とは、借金の理由が自業自得の場合に、自己破産を許さないこと。たとえばギャンブルで多額の負債を負っても、自己破産はできません。
仮想通貨も、通常はギャンブルと同じ扱いになります。ただし運営会社の倒産によって借金を負った場合は、本人の責任が少ないとして、自己破産ができるかもしれません。
弁護士と契約すれば、弁護士の「受任通知」をもって、借金の督促から開放されます。そのため、多額の借金を負ったら、とりあえず弁護士に相談してみるのがよいでしょう。今は無料で相談できる弁護士事務所も多くありますので、試しに話を聞いてみて損はありません。
仮想通貨取引で借金を負った場合によくある質問
- 仮想通貨のトレードで負った借金も債務整理できますか?
- 自己破産の場合、仮想通貨トレードが免責不許可事由に当たるため、債務整理に利用できません。ただし本人の反省具合や状況によっては、自己破産ができる可能性も多少はあります。
任意整理と個人再生については、仮想通貨トレードによる借金でも、まったく問題ありません。
- 債務整理の中でも解決できる可能性があるのは何ですか?
- 仮想通貨取引による借金をうまく解決したいなら、「個人再生」が1番適しています。個人再生を使えば、債務額を5分の1から10分の1程度まで圧縮できるため、借金返済の負担が大きく減るためです。
対して任意整理は、返済負担の減りが少ないため不適。自己破産は、そもそも利用できません。