法律トラブルを解決するために、法律のプロに相談をしたいけど、金銭的な問題が理由で依頼ができないという人は多いはずです。
弁護士や司法書士に問題の解決を依頼すると、数万円〜数十万円単位の費用がかかってしまうため、経済的に困難な状況に陥っている人ほど、依頼をするのが難しくなります。
こういった経済的な理由で法的サービスが受けられない人のために、国が設立した機関が「法テラス」です。
名前だけは聞いたことがある人は多いと思いますが、法テラスは誰もが気軽に法的なサービスが受けられるという目的を実現するために存在しています。
無料で法的な問題の相談もできますし、経済的に困っている方でもサポートを受けながら問題の解決に繋げていくことが可能です。
しかし、そのような法テラスに対して「役に立たない」という評判が一定数あります。
今回は法テラスが役に立たないと言われる理由について明らかにしていき、法テラスのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
法テラスとは「法的トラブルを相談できる機関」

法テラスは、国によって設立された法的なサービスを提供する機関です。
法的なトラブルの解決に役立つ情報を無料で提供してくれる他、経済的な余裕がなく弁護士などに依頼するのが難しい方でも、無料法律相談や弁護士などへの依頼費用の立て替えを実施しています。
経済的な状況に関係なく、誰もが平等に法的なサービスが受けられるという考えのもの、さまざまな法的なトラブルに対する相談窓口を開いています。
夫婦トラブルや職場でのトラブル、借金問題など、問題の種類に応じて適切な相談窓口を案内してもらうことができますし、無料での相談を通じてどのような流れで問題を解決していくのかを明らかにすることができます。
法テラスで対応できるトラブルの範囲は様々ですが、一般的に以下のような問題が対応の対象となります。
- 契約・合同関係
- 消費者問題
- 雇用・労働関係
- 税務・社会保険
- 借金・債務関係
- 不動産・住宅関係
- 遺産・相続
- 刑事・民事訴訟
- 公的資格・手当
- 教育・学校関係
このように多岐にわたる法的トラブルに対処することができるので、経済的な理由で法律のプロに相談ができない方や何をすればいいのか全くわからない方などは、法テラスを頼ってみるのがおすすめです。
法テラスが役に立たないと言われる5つの理由

上記のように誰もが法的なサービスを利用できて、問題解決のための適切なアドバイスが受けられる法テラスなのですが、「役に立たない」「使えない」という声も一定数みられます。
では、法テラスが役に立たないと言われる理由にはどのようなものがあるのか詳しくみていきましょう。
考えられる主な理由としては以下の5つが挙げられます。
- 無料で相談するためには条件を満たす必要があるため
- 弁護士や司法書士への依頼費用は結局かかる
- 自分で弁護士や司法書士を選ぶことができない
- 費用立て替え制度の利用に必要な審査に時間がかかる
- 費用の支払いに延滞すると法的措置がとらえる
では、1つずつ詳しく解説していきます。
無料で相談するためには条件を満たす必要があるため

法テラスでは、経済的に法的なサービスを受けるのが困難な方を対象に、無料の法律相談が受けられるサービスを提供しています。
しかし、無料で相談をするためには一定の条件を満たす必要があります。
無料相談の条件には収入と資産の両方で基準が設けられており、2つの要件を満たしていないと無料相談は利用できません。
家族人数 | 手取の月収額の基準 |
---|---|
1人 | 182,000円以下 (200,200円以下) |
2人 | 251,000円以下 (276,100円以下) |
3人 | 272,000円以下 (299,200円以下) |
4人 | 299,000円以下 (328,900円以下) |
家族人数 | 資産合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
つまり、誰でも無料相談ができるというわけではなく、一定の経済的な要件を満たしている必要があるのですが、この基準に照らし合わせると、エアポケットのような形で基準の範囲外だけど経済的な理由で法的なサービスが受けられないといったケースも生じるでしょう。
経済的には余裕があるけど法テラスで問題解決の費用を安く抑えようといった使い方もできません。
結局のところ無料で利用できる範囲が限られているため「役に立たない」という評価がされているのかもしれません。
弁護士や司法書士への依頼費用は結局かかる

法テラスでの法律相談については一定の条件を満たすことで無料で利用できるのですが、あくまで無料になるのは相談費用のみです。
実際に法的な問題を解決するためには、法テラスを通じて弁護士や司法書士に依頼をする必要があり、この依頼費用については有料となっています。
案件の内容によっても異なるのですが、弁護士に依頼をすると以下のような費用がかかります。
相談費用 | 5,000円~数万円 |
着手金 | 依頼者が得る経済的利益の2%~8%程度 |
成功報酬金 | 依頼者が得る経済的利益の2~16% |
日当 | 3~10万円 |
実費 | 案件内容に応じて異なる |
法テラスを利用する方の中には、法律相談だけでなく依頼費用も無料になると思っている方も多いため、お金がかかると判明したときにがっかりするのかもしれません。
結局のところ依頼費用がかかるのではあれば、法テラスを介さずに弁護士に依頼するのでも変わらないのではという見方もできるでしょう。
もちろん法テラスを通じて依頼する方がトータルでかかる費用は安く抑えられるので、経済的なメリットはあるのですが、有料であるという点について「役に立たない」と言われやすい原因となっているようです。
自分で弁護士や司法書士を選ぶことができない
法テラスは、その名前の通り法律に関するトラブルや問題を解決するためのサービスです。
このサービスを利用すると、一定の料金を支払うことで、法律に関する問題を専門家に解決することができますが、法テラスでは自分自身で弁護士や司法書士を選ぶことができません。
自分で選ぶのではなく法テラスが適切な弁護士や司法書士を選ぶことになり、その点に対して不安を抱く人も多く、選ばれた人によって当たり外れや相性の問題が生じる可能性もあるでしょう。
しかし、法テラスでは問題の種別や規模に応じて自動的に最適な弁護士や司法書士を選ぶことがでるので、基本的には問題ありません。
費用立て替え制度の利用に必要な審査に時間がかかる

費用立て替え制度の審査にかかる時間は、申請内容や書類の調整状況、申請者の返答速度などによって異なります。
一般的に、費用立て替え申請書の送付から審査結果までには数週間~数か月の期間がかかります。
また、費用立て替え制度に応募する前には必要書類を用意し、正確かつ迅速に送付することが重要です。
これにより、審査のスムーズな進行が期待されます。
さらに、審査中に補足資料や追加情報が要求された場合は、迅速かつ正確に提出することが大切です。
これにより、審査プロセスがスムーズに進行し、審査結果が早期に得られる可能性が高くなります。
以上のように費用立て替え制度の審査にかかる時間は、申請者の調整と対応スピードに大きく関係するので、正確かつ迅速な対応が大切です。
費用の支払いに延滞すると法的措置がとらえる
法テラスの費用の支払いが延滞すると、法的措置がとられる可能性があります。
法テラスは、利用者に対して法的サポートや代行サービスを提供することを目的としたサービスですが、その費用は一定の期限内に支払わなければなりません。
費用の支払いが延滞する場合、法テラスは利用者に対して法的通告を行い、支払いを求めます。
また、支払いがない場合には、裁判所に提訴するなどの法的措置をとることもあります。
支払いに困っている場合は法テラスに問い合わせ、対応策を検討することが大切です。
法テラスは役に立つ?利用するメリットと上手な使い方

ここまで法テラス役に立たないといわれる理由について解説していきましたが、法テラスの特徴をしっかりと理解すれば便利に活用することができます。
ここでは法テラスを上手に使うためのメリットを解説していきます。
主なメリットは以下の4つです。
- 法テラスは無料で法律相談をすることができる
- 弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてくれる
- 一定の条件を満たしている人は依頼費用も全額免除になる
- 法律事務所に直接依頼するよりも費用が安く収まる
上記のメリットを理解した上で適切に法テラスを利用していきましょう。
法テラスは無料で法律相談をすることができる

法テラスは、全国にある法律相談所で、無料で法律相談をすることができます。
法テラスでは、法律に関する相談や悩み、トラブルなどに対して、専門のカウンセラーが無料で対応します。
法律上の問題がある方、法律に関する疑問がある方など、誰でも気軽に相談することができますし、法律に関する情報も提供されますので、自分で問題を解決することも可能です。
法テラスは、法律に関する情報を求める方、法律上の問題を解決する方などにとって大変役立つサービスなので、法律に関する知識がない方や解決方法がわからない方は、法テラスで無料で法律相談をすることをおすすめします。
無料で相談するには主に収入と資産の2つの面で条件を満たしていなければなりません。
家族人数 | 手取の月収額の基準 |
---|---|
1人 | 182,000円以下 (200,200円以下) |
2人 | 251,000円以下 (276,100円以下) |
3人 | 272,000円以下 (299,200円以下) |
4人 | 299,000円以下 (328,900円以下) |
家族人数 | 資産合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
経済的な理由で法律のプロに依頼するのが難しいという方も多いですし、法的な知識がなくどこに相談すればいいかわからないという人も多いはずです。
法テラスであれば無料相談を受けることができるので、経済的な負担も軽くなりますし、問題解決のための適切なアドバイスを受けることも十分に可能です。
弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてくれる

法テラスを利用すると、弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてくれる制度を活用することができます。
弁護士や司法書士に依頼するための費用はかかるのですが、その場で支払うのが困難な場合には、立て替え制度を活用することで、費用が用意できなくても依頼をして法的トラブルの解決に繋げることができます。
あくまで立て替え制度なので、依頼費用については法テラスに対して分割で支払う形になるのですが、それでも依頼費用を一括で用意するよりもハードルはかなり下がります。
もちろん依頼費用が無料になるわけではないので、一部では「役に立たない」と言われるかもしれませんが、債務整理がしたくても手元に費用が用意できない場合など、立て替え制度を利用すれば依頼が可能になりますし、問題を解決して生活を立て直してから費用を返済していくということもできます。
問題を抱えた状態では費用を工面するのも困難になってしまいます。
きちんと法律のプロに依頼をして、問題を解決すれば経済的な余裕も出てきて、依頼費用の支払いもスムーズに行えるはずです。
ちなみに費用の立て替え制度を利用するには審査に通過する必要があり、利用にあたって下記の条件を満たす必要があります。
家族人数 | 手取の月収額の基準 |
---|---|
1人 | 182,000円以下 (200,200円以下) |
2人 | 251,000円以下 (276,100円以下) |
3人 | 272,000円以下 (299,200円以下) |
4人 | 299,000円以下 (328,900円以下) |
家族人数 | 資産合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
ちなみに資産条件については、現金や預貯金に加えて自宅以外の不動産や有価証券の資産も算出対象に含まれます。
一定の条件を満たしている人は依頼費用も全額免除になる

法テラスは、国民に法的な問題に対するアクセス可能な法律サポートを提供することを目的としています。
そのため、一定の条件を満たしている人には依頼費用も全額免除になることがあります。
この条件は、貧困層、障害者、高齢者、生計を立てるために困難な状況にある人などが含まれます。
これらの人々は償還免除申請を行うことで弁護士などへの依頼費用が全額免除されるので、経済的な負担なく法律トラブルへの対処ができます。
全額免除の制度を利用すれば、法テラスによって提供される法律サポートを利用することによって、彼らの法的権利を守り、問題解決のためのアドバイスを得ることができます。
法テラスは、国民の皆さんに適切な法律サポートを提供することに努めていますので、法的な問題がある場合は、利用することを強くおすすめします。
法律事務所に直接依頼するよりも費用が安く収まる
法律事務所に直接依頼するよりも法テラスを通じて依頼をする方が、支払う費用は安く抑えられます。
法テラスでは弁護士や司法書士を自分で選ぶことができないのですが、その分、相場よりも安く依頼ができるので経済的な困難を抱える方でも法的なサービスを受けるハードルが下がります。
債務整理や自己破産で法的な依頼をしたいと思っても、依頼費用がネックになっている場合は、法テラスを通じて少しでも経済的な負担を軽減するのがおすすめです。
法テラスは役に立たないに関するよくある質問

法テラスは役に立たないに関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で気になる部分があった人は参考にしてみてください。
- 法テラスはどこまでトラブル解決をやってくれる?
- 法テラスで対応できるトラブルの範囲は様々ですが、一般的に以下のような問題が対応の対象となります。
・契約・合同関係
・消費者問題
・雇用・労働関係
・税務・社会保険
・借金・債務関係
・不動産・住宅関係
・遺産・相続
・刑事・民事訴訟
・公的資格・手当
・教育・学校関係
- 法テラスの審査に落ちた場合はどうしたらいいの?
- 法テラスの審査に落ちた場合は、以下のいくつかの対処法があります。
①再申請: 審査に落ちた原因を確認し、再申請することができます。再申請には手数料が必要となりますので、注意が必要
②別の申請先: 法テラス以外の手当申請先を探す
③弁護士への相談: 弁護士に相談する