任意整理で減らせるのは将来の利息
任意整理は、借金を整理して生活を再編するための債務整理のひとつです。債務整理の中でも任意整理は、裁判所の手続きを必要とせずに、債権者と直接交渉して借金を整理する手段です。
任意整理は、個人再生や自己破産とは異なり、借金の元金が削減されたり、支払い義務が消滅したりするわけではありません。元金はそのままですが、将来にわたって発生する利息の部分を減らすことで、総返済額を抑えるというものです。ですので、任意整理をしても返済は継続しなければなりません。そして、過去に支払った法定利息内の利息が返金されることはないことに注意が必要です。
つまり、手続きとしては交渉になるため個人再生や自己破産よりハードルが低いのも事実ですが、借金を圧縮することはできないのです。
また、任意整理は、話し合いによって決定されるので、複数のローンを抱えていても全ての借金を整理する必要はありません。例えば、保証人がいる借金、そして、ローンが残っている自動車に関する借金などは整理せずにそのまま残すことも可能です。また、複数の借金の中から、自分が選んだ特定の債権者とのみ交渉を行うこともできます。どのくらい支払額を減らせるかは、どの債務整理と交渉をするかよにっても当然変わります。
月々の返済額は少しだけ減るケースから半分くらい減るケースまである
任意整理の結果といえる「支払額をどのくらい減らせるか」については、債権者との交渉次第です。、ですので、具体的な返済額の減少はひとによって異なります。月々の返済額が少し減るだけケースもあれば、場合によっては半分くらいにまで減るケースもあります。これは利息の金額や返済の期間などでも異なります。
例えばですが、返済期間は長い方が月々の返済額を下げることが可能です。そして、今支払っている利息が高い方が、任意整理による減少の幅は大きくなります。そして、交渉で利息を全てカットすることができれば、総返済額を大幅に減らせますので、月々の返済額も減ることがあります。
しかし、これらの結果はすべて交渉によって得られるものです。法律で減少額が決まっているわけではありません。ですので、必ずしも全ての債務者に公平に適用されるわけではありません。債権者の状況、債務者の返済能力、そして専門家の交渉力といった様々な要素が結果に影響します。
任意整理では借金の元金は減らないけど完済総額はしっかり変わる
任意整理は、借入先との交渉で返済計画を再編成する手続きのことを指します。最も、特徴的なのは、元本そのものは減額されないという点です。どんなに交渉をしても、元金も減らして貰えるということはありません。ですが、将来の利息をカットして返済期間を調整することにより、返済の総額は大幅に変化します。少なくとも、任意整理をしたのに総支払額が増えるということはありません。
任意整理によって得られるメリットは、利息のカットです。今までどおり返済した場合には、支払うはずだった利息を削減できますので、これだけで返済総額を減らすことができます。また、場合によっては返済期間の延長を交渉することで、月々の返済額を減らしてより返済しやすくすることも可能です。
このような交渉をすることで、借金の元金が変わらなくても、利息のカットや返済期間の延長の効果で返済の総額や月々の返済額が大きく変わるのです。当然、金融的な負担が軽減されますし、生活の立て直しや借金の完済について先が見えるようになります。
ただし、任意整理は債務者と債権者双方の合意に基づくものですので、絶対に交渉が成功するわけではありません。こちらの要望を飲んで貰えないこともあるので注意しましょう。
過払い金があったら借金が0になることもある
任意整理では、借金が圧縮されたり支払義務がなくなることはありません。ですが、過払い金がある場合で、過払い金の金額が残っている負債額より多い場合は過払い金とは相殺で借金がなくなるというケースもあります。
過払い金とは、過去に支払った利息の中で、本来支払う必要がなかった部分を返還請求することです。法定利率を超える金利で計算された部分についてのもので、契約であっても法律に違反している部分については返還請求ができます。
過払い金請求は、しばしば債務整理と同時に行われること多く任意整理と同時に過払い金の調査をするのが一般的です。過払い金は、債務整理と混同されやすいのですが、異なるプロセスです。債務整理は、現存する借金を整理するための手続きです。一方、過払い金請求は、過去に無理に支払わされた利息を取り戻すための手続きです。そしてこの、過払い金請求は、債務が存在する間でも、すでに全額返済が終わった後でも可能です。現在借金を返済中でも、借金を全て返し終えてしまっていても、そして、債務不履行になっていたとしても過払い金の請求は可能ということです。
任意整理でどのくらい支払額が減るかに大きく関わってくるのが過払い金の有無なのです。仮に負債が100万円で過払い金が120万円あれば、過払い金で借金を支払ったあとでの残りの20万円についてはこちらに帰ってくるというケースもあります。
過払い金があるかどうかや、いくらかはひとりひとり違いますので、調査が必要です。過払い金請求の手続きは、専門的な知識と経験が必要ですので、司法書士事務所や弁護士事務所などの専門家に依頼することが一般的です。依頼を受けた弁護士は、本人の代わりに各金融機関から借入、返済の詳細情報を取り寄せて、過払い金が存在するかどうかを調査します。その後、過払い金が確認された場合、債権者に対して過払い金の返還を求める手続きを進めていきます。
任意整理でどのくらい減るのかのシミュレーション

任意整理は、お金を借りた人と貸した側(銀行や消費者金融)が、交渉をして返済計画を立てることで、将来にわたる利息を減らしたりカットしたりして借金の総支払額を減らすというものです。交渉で行われるため、裁判所の手続きは必要なく合意があれば成立します。自分で交渉することが禁じられているわけではありませんが、弁護士や認定司法書士に依頼して行うのが一般的です。
仮に500万円の負債について任意整理した場合、どの程度支払額を減らせるのかを計算してみましょう。あくまでも試算なので個別の状況によって金額は変わりますので、参考程度にされてください。
5年返済の場合 | 1年あたりの返済額は100万円 | 1カ月約8万3000円 |
3年返済の場合 | 1年あたりの返済額が166万円 | 1カ月あたり約13万8000円 |
任意整理は個人再生や自己破産と違い、支払いをどの程度減らせるかについてルールはありません。どのくらい支払額が減るかは状況や交渉の内容によるため、一概には言えません。しかし、一般的なシミュレーションを以下に示します。
任意整理では裁判所の手続きは不要
任意整理は、借金の返済に困っている債務者が直接、もしくはは弁護士や認定司法書士を通じて債権者と交渉を行い、返済計画を立てて元金をするものです。任意整理は裁判所を介さないため、法的な手続きや手数料が必要ありません。
任意整理の過程では、金融機関やクレジットカード会社等の債権者と交渉し、未来の利息の負担を減らすことで、返済をより効率的かつ計画的に行います。
個人再生や自己破産のような裁判所の手続きが必要な債務整理の場合は、所定の書類などをすべて用意して手続きをする必要があります。また、官報に手続きの内容が掲載されるといったデメリットもありますが、任意整理の場合、交渉で当事者同士が納得できればOKです。ただし、官報には掲載はされなくてもブラックリスト入りを避けられるわけではありません。
以下に、任意整理と個人再生や自己破産の手続きについて比較しましたので参考にされてください。
元金 | 裁判所の手続き | 官報 | ブラックリストになるか | |
任意整理 | 減らない | 必要なし | 載らない | 登録される |
個人再生 | 減る | 必要 | 掲載される | 登録される |
自己破産 | なくなる | 必要 | 掲載される | 登録される |
任意整理をしてもブラックリストの状態を避けることはできません。信用情報に事故情報という記録が残り、クレジットカードの新規契約などは難しくなります。また、既に所有しているクレジットカードも利用停止となる可能性が高いです。新しいローンなどもかなり難しくなるでしょう。
しかし、クレジットカードが利用できなくなっても、デビットカードは利用することが可能です。というのも、デビットカードは預金口座から直接支払う形式のカードなので、そもそもクレジットの審査は必要ありません。そのため、任意整理を行った直後でもデビットカードは利用できます。
また、信用情報に記録される「ブラックリスト」という状態は永遠に保存されるわけではありません。一定の期間が経過すれば、再度ローンやクレジットカードの契約が可能になることがあります。この期間は一般的に5年から10年程度とされていますが、具体的な期間は各金融機関の規定によりますが5年から10年程度です。
自分で消費者金融や銀行や信販会社と交渉するのは難しい
任意整理を自力で行うことは可能です。代理人を介さずに本人が交渉することは禁止されていません。ですが、多くの場合、専門的な知識やネゴシエーションといった技術が必要となります。そして、消費者金融の中には「本人からの任意整理の交渉は受け付けていない」というところもあります。債権者からすれば、契約どやりに返金して貰いたいわけですし、1度約束をしてお金を貸しているのですから、本人からの交渉を受けないというのも理解できる部分はあります。また、債権者側の交渉人もについても、専門の職員が行うため、交渉の難易度は高くなります。そのため、任意整理の交渉をする場合は、弁護士や司法書士など専門家に依頼をして交渉を一任することが一般的です。
そして、任意整理の交渉を弁護士などにち依頼する場合は関しては、依頼費用がかかります。元金が減らないのに弁護士に依頼をしたら結局支払いが増えるのでは?と思ってしまうかもしれません。ですが、借金の金額金利が大きい場合はその費用を支払ったやとしても将来の利息を減額できるというメリットが大きくなるケースも珍しくありません。
任意整理が無理なときは個人再生や自己破産を検討する
任意整理の交渉を応じて貰えない場合や、任意整理をしても返済が厳しいという場合には、個人再生や自己破産を検討しましょう。
自己破産をして免責がおりれば銀行や消費者金融かの借金は返済義務がなくなります。そして、個人再生をすれば、法律で定められている一定の割合で借金の元本を圧縮できます。デメリットもある方法ですが、任意整理では整理しきれないという場合には、このような方法もあります。
任意整理がいいのか、それとも個人再生や自己破産がいいのかについては、個別の状況によってことなります。借金の状況や今の収入の状態。そして、手続きによっては借金をした理由なども考慮する必要がありますので、弁護士や認定司法書士などの専門家に相談されることをおすすめします。
任意整理に関するよくある質問
最後に任意整理に関するよくある質問にお答えします。
質問のタイトル1 任意整理の手続きはどれくらい時間が必要ですか?
質問の回答1 任意整理にかかる時間に関しては、債務者の借金の状況や債権者の数、そして、交渉の進行状況などによって大きく変わりますが、一般的には数ヶ月から半年程度です。代理人をつけて交渉している場合、この間は督促がとまりますので平穏に生活ができます。もちろん交渉がスムーズに終われば、もっと短い期間での任意整理も可能というケースもあります。
質問のタイトル2 任意整理の費用はどのくらいかかりますか?
質問の回答2 任意整理の費用については、弁護士事務所ごとに変わります。依頼した場合の費用は債権者1社あたりについての金額が設定されていることが多いようです。また、相談費用に関しては、債務整理の相談は無料としている弁護士事務所もあります。任意整理の場合、いきなり依頼をするのではなくまずは弁護士事務所で相談をしてから依頼するかを決定することが多いため、無料で相談できる弁護士事務所や認定司法書士事務所選んで相談をするといいかもしれません。